
「正社員ではなく、派遣社員という働き方を選ぶ」。
そう考えた時、やはり気になるのは、正社員と派遣では、どういった違いがあり、どんなメリットやデメリットがあるのかという点です。
派遣という働き方を選ぶ際には、その特徴や、どういう働き方をしていくのがベストかを知っておく方が、よりあなたに合った働き方を選ぶ事が出来ます。
この記事では、派遣社員として19年、13社を渡り歩き、現在も派遣として契約中の当サイトのライターが思う、「派遣として働くメリット」をお伝えします。
「派遣って長く働けないんじゃないのかな」という不安を解消し、自分の思う生き方を出来る方法をご紹介できればと思います。
■派遣で働くメリットとは?
派遣社員という働き方は、正社員と多くの点で違いがあります。
特に、仕事の選び方や、入社の条件など、正社員ではまず得られないメリットがあります。
このメリットを活かせば、正社員でなくても、自分のライフスタイルにあった、求める働き方を選ぶことができます。
特に、正社員への就職活動ではまず得られない、派遣だからこそできるメリットをお伝えします。
メリット1.正社員ではまず入社できない大手企業で勤められる
例えば楽天やトヨタ、キャノンなど、誰もが知る有名な企業も派遣の求人を数多く出しています。
これらの大企業へ、学生の就職活動や、正社員からの転職で入社するのは非常に困難です。倍率も高く、要求されるスキルや学歴もハードルが高く、多くの場合は不採用となってしまいます。
しかし、派遣であれば、仕事の内容が限定されており、倍率も正社員ほど高くありませんので、採用される確率ははるかに高くなります。
正社員として受かろうと思えば、書類選考→一次面接→二次面接→三次面接 と、高いハードルが山積みです。
しかし派遣の場合は、一回の面接(20~30分)と履歴書の選考だけで合否が決まりますので、正社員として入るよりもはるかにハードルが低くなります。
誰もが知る大手企業で働いてみたい時は、派遣という働き方は大きなメリットになります。
特に20代の内は、派遣の面接に受かる確率が高いため、「誰もが知っている有名企業で働く」という業務経験を得やすいのが特徴です。
また、正社員として、トヨタやキャノンなどの大手企業を次々と転職していくのは非常に困難です。しかし、派遣の場合ですと、数年ごとに大手企業を渡り歩いていく事も難しくありません。
正社員ではまず難しい、有名企業から有名企業へと数年おきに会社を変える、という働き方も可能となります。
メリット2.責任が限定されている
正社員と違い、派遣社員の場合は、仕事の責任の範囲もある程度、限定されています。
正社員であれば、社員としての責任を持って仕事のノルマや目標を何としても達成しなければなりませんし、それだけの強いプレッシャーもかかります。
しかし、派遣社員ですと、そういった大きな責任が課されない求人がほとんどです。
そのため、正社員ほどの仕事のプレッシャーやノルマを受ける事なく、穏やかな気持ちで仕事を続けやすいと言うのも、派遣で働くメリットの1つです。
精神的に楽というメリットのほかに、実際の仕事内容でも、社員より働きやすい点があります。
それは、自分の責任で決定を下す仕事は非常に少ないという点です。
派遣の働き方の場合、主に、正社員の責任者の傍で働く事になりますので、社員が下した指示に従って、補助的に働くスタイルになります。
自分自身の責任で意思決定する機会や、結果の責任を取るという機会は少ないですので、目の前の仕事だけに集中しやすいというのもメリットです。
メリット3.辞めやすい
入社しやすい点と同様に、辞めやすいという点も派遣のメリットです。
例えば実際に働き始めてみて、「この会社は合わない、無理」と思った場合、派遣の契約を途中で終了させることも可能です。
正社員の場合ですと、そう簡単には辞められませんし、仮に辞めたとしても次の仕事を決めるのが大変です。
その点、派遣の場合ですと、一旦その派遣先を契約終了すれば、すぐ次の仕事紹介をもらう事が出来ます。
営業さんのサポートを受けながら面接を進め、すぐに別の会社で働き始めることが可能です。
正社員で転職する場合に比べても、「辞める」「別の会社へ移る」という行動が、とても取りやすくなります。
上司が合わない、仕事がきつすぎる、人間関係が悪い、そういったこれ以上働けない理由ができた場合、すぐに勤務先の会社を変えるという選択が取れるのも派遣の大きなメリットです。
メリット4.転勤や異動がない
正社員はどの会社でも人事異動が必ずあります。
会社によっては、数年おきに違う支店へ飛ばされるという事もありますが、派遣の場合は基本的に人事異動は関係がありません。
契約した部署で働き続ける事になりますので、たとえ社内で人事異動があったとしても、派遣社員のポジションは変わりません。
急な人事異動で他の部署へ飛ばされたり、転勤を伴う異動をさせられる事がありませんので、正社員の場合と比べ、単身赴任になるリスクや、急な引っ越しが起きるリスクを限りなくゼロに近づける事ができます。
また、夫の転勤にあわせて、違う場所への引っ越しが必要になった時も、「すぐに今の仕事を辞めて、新天地で次の仕事を見つけやすい」というのは、女性にとっては大きなメリットです。
転勤族の旦那様がおられる方には、まさに派遣が一番の働き方とも言えるでしょう。
メリット5.残業の量、勤務時間を選べる
派遣の求人に応募する際は、どの求人でも、勤務時間や残業量の目安が必ず明記されています。
そのため、「実際にどれぐらいの時間、残業できるか」は、派遣の面接でも必ず確認される事と言っても良いでしょう。
あらかじめ、働ける時間を確認し、同意の上で契約する事になりますので、契約にない予想外の残業や生活のリズムを崩すような、無茶な働き方をする必要はなくなります。
時短の求人も多いですので、子育てや家庭の生活との両立をしやすい事も大きなメリットです。
メリット6.働く期間を自分で決められる
派遣は、一般的には3ヶ月契約を更新していく形になります。
長期で働きたければ3ヶ月契約を1年に4回更新していけば構いませんし、例えば半年限定で働きたい場合なら、3か月契約を2回だけ契約し、そこで契約終了を選択する事が出来ます。
例えば、「子供が〇歳になるまでの数年間だけ働きたい」といった希望や、「夫の急な転勤にあわせて、転勤先で仕事を見つけたい」という働き方には最適です。
また、1か月単位で契約が出来る求人もありますので、夏の1か月だけ働きに出る、といった期間限定の働き方が出来る事も大きなメリットです。
メリット7.わずらわしい人間関係を長く続ける必要はない
派遣の契約は、1社あたり最長でも3年となります。
どうしても3年が上限となり、それ以上の契約は同じ会社では不可能になりますので、3年ごとに会社の人間関係は一旦リセットされます。
社内の人間関係や上司のご機嫌取りなど、わずわらしい人間関係を、出世のために我慢してこなす必要がありません。
あくまで仕事と割り切って、人間関係に振り回されることなく、淡々と自分の業務をこなしていくという働き方が可能になります。
メリット8.時給を自分で選ぶことができる
派遣の求人に応募する際に、時給は大きなポイントです。
まず、派遣の場合は、アルバイトやパートよりも確実に高い時給が設定されています。
同じような難しさの仕事なら、そもそもアルバイトやパートを選ぶ理由がなく、派遣で働く方が家計に助かるのは確実と言えるでしょう。
派遣は仕事内容を見た上で、紹介された求人に「応募する」「応募しない」を選ぶことが出来ますので、仕事内容と時給を見比べて、一番ピッタリな求人を、アルバイトやパートより高い条件で選ぶことが出来るのがポイントです。
また派遣の契約期間が長くなってきた場合は、契約更新のタイミングで、時給の見直しを交渉することも可能です。
アルバイトの時給アップのように、契約期間中に時給をアップさせる事も可能です。正社員のように定期的な昇給がある訳ではありませんが、逆に言えば、自分で給料を決めていく事ができるというのは派遣の大きなメリットです。
■派遣のデメリット
ここまでは派遣のメリットを8つ挙げてきましたが、ここからは派遣のデメリットも触れていきます。
多くの方が不安に思うように、やはり「雇用が不安定」「将来が不安」といった、安定した生活が出来るかどうか、という点は大きなデメリットです。その他にも、派遣という期間限定ならではの不便な点もあります。
これらのデメリットを踏まえた上で、派遣という働き方を選んでいく事が重要なポイントです。
デメリット1.三年ルールがある
現在の派遣法のルールの中では、派遣社員は3年以上同じ部署で働く事ができません。
部署を変える、あるいは、派遣先の企業を変えるといった、職場を変える必要が3年ごとに発生します。
ただし、「無期雇用」という新しい働き方も出て来ていますので、場合によっては、3年を超えて長期間、派遣で働くという選択肢もあります。
しかし無期雇用を導入しているスタッフはまだ多くはなく、いずれにしても、「1社あたり3年が上限」というルールはしっかり意識した上で、契約していく事が大切です。
5年、10年と同じ職場で働きたい…という場合は、派遣という働き方はあまり相性が良くないかも知れません。
逆に言いますと、「職場は変わっても良いけれど、仕事内容が同じなら、それでいい」という方にとっては、派遣はスキルをすぐに活かせる上に時給も高いという、大きなメリットを得られる働き方と言えます。
デメリット2.大きな仕事のリーダーなどは任されない
派遣社員はあくまで派遣会社から派遣されたスタッフです。
派遣先の企業の正社員ではありませんので、役職やリーダーなど、責任の重い大きな仕事を任されるというのは難しいでしょう。
将来的に「大きな仕事をしたい」「役職をつけたい」「管理職になりたい」、といった希望がある場合は正社員で仕事を探す方が確実です。
デメリット3.交通費が出ない
実際に働き始めて気づく、意外に大きな不便が「交通費」です。
多くの派遣の求人では、交通費が支給されない事がほとんどです。
そのため、遠方の派遣先で働くことになった場合などは、通勤費が自腹になりますので、毎月の定期代の分、手取り収入が減ってしまうと言うデメリットがあります。
このデメリットの解消方法としては、やはり自宅から近い派遣先を選ぶという方法がシンプルながら確実です。
また、一部の派遣会社では、交通費が支給される求人もあります。そういった求人を狙って応募していくという方法も1つです。
デメリット4.派遣面接で落ちるリスク
派遣の働き方で、特に不安に思う人が多いのは、やはり「派遣の面接に受かるかどうか」という点です。
派遣の求人は多いですが、自分にピッタリの求人にいつも受かる事が出来るかどうかは、わかりません。
たまたま希望する条件にあう求人がない時期が続いたり、面接で落ちる事が続いてしまうと、希望の仕事に就けない期間が出てくる可能性もあります。
これらのリスクを下げるためにも、派遣スタッフはスキルアップを常に意識しておくことが大切です。
具体的に言いますと、「前の仕事より少し難しい仕事を選ぶ」+「残業無し」という2点を意識して選んでいくことで、家庭と仕事の両立をしながら、「派遣として長く仕事紹介をもらい続ける」というメリットを受ける事ができます。
メリットとデメリットを比較すると見えてくる、派遣の働き方
これらのメリットやデメリットを並べてみますと、派遣は「会社に束縛されない生き方」を叶える事が出来る働き方と言えるかと思います。
一つの会社と長年お付き合いする働き方ではありませんし、会社都合の人事異動に振り回される事もありません。
働く時間も時給も、仕事内容さえも自分で選ぶ事ができます。
その一方で、派遣面接に受からないリスクや、交通費ゼロ、長期の雇用が出来ないといったデメリットも見逃せません。
これらをまとめますと、やはり派遣という働き方には、向いているタイプ、向いていないタイプがはっきりと表れます。
派遣の働き方が向いているタイプとは
1社あたり最長3年という働き方になりますので、期間を決めて仕事をしたい人には、非常に相性が良い働き方です。
例えば、結婚や出産までの数年間だけ働く、子供の学費が高くつく期間だけ働く、といったように、長いライフステージの中で期間限定で働く場合などはオススメです。
また、「夫の転勤」に対応しやすい働き方でもあります。
転勤の多い旦那様と一緒に、家族で引っ越しを繰り返すご家庭の場合、転勤先ですぐに仕事を見つける事が出来るのも派遣のメリットです。
アルバイトやパートよりも時給が高く、次の転勤が起きた際に契約終了をしやすいのも、相性が良い働き方と言えるでしょう。
逆に、あくまで家族と一緒に暮らす事が大切で、仕事のために自分ひとりで単身赴任など出来ないし、子供を引っ越しさせるのは可哀そう。
こういった気持ちがある時にも、人事異動や転勤が起きない派遣の働き方は便利です。
派遣の働き方が向いていないタイプとは?
一方、派遣ではどうしても大きなプロジェクトを任される事は出来ません。
あくまで社外の人間という扱いになりますので、大きな仕事を完成させた達成感、部下を持ってチームを動かす働き方、役職者や管理職になる等、長く働く事で得られる恩恵は受けられません。
また、定年退職まで長く働きたいという希望がある場合も、派遣の働き方は向きません。
40代あたりまでは、仕事はいくらでも紹介を受けられますし、面接の合格率も高い状態を維持できますが、50代、60代でオフィス系派遣の面接に受かるのは、かなり困難になってきます。
年齢が高くなってきた場合、派遣ではなく、アルバイトやパートに変えるなどの工夫が必要になりますので、定年退職まで働き続けるのであれば、正社員の働き口を確保する方が確実です。
まとめ
働く場所、時間、給与、仕事内容、全てを自分で選んでいく。これが、派遣の働き方と言えます。
期間が限られるからこそ、受けられるメリットとデメリットがあります。
あなたの生活に相性が良いと思った時は、ぜひ、派遣会社に登録をして、あなたにピッタリの仕事紹介を受けてみてくださいね。
また、このサイトでは、派遣会社の登録方法や、派遣会社の選び方なども解説していますので、そちらもぜひご覧ください。