
派遣社員として日々お仕事をしていると「夏休み」「冬休み」、それからちょっとした私用などで休みを取りたいことも出てきますよね。その場合、派遣社員でも「有休休暇」を取ることはできるのでしょうか。
この記事では、派遣社員と有給休暇の取得条件について解説をしています。
■派遣社員でも有給休暇を使うことが出来ます
ズバリ書いてしまいましたが、派遣社員でも有給休暇を取得することはできます。
ただし、有給休暇がもらえるタイミングについては、法律で定められたルールがあります。
<労働基準法で定められた有休取得のルール>
「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」(第39条)
法律の文章で読むと少し難しいため、実際に働く場合に当てはめて解説をしていきます。
例えば、あなたが4月1日からの派遣契約を結び、派遣のお仕事をスタートさせたとします。※週5日就業の場合
その場合、
・「その雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し」→10月1日の時点で、
・「全労働日の8割以上出勤した」→もし、ほぼお休みをしないで出勤していた場合は
10日間の有給休暇が付与されることになります。
ちなみに、上記では週5日お仕事をする契約を結んでいる派遣社員を例にとりましたが、週5日以下の勤務日数でお仕事をしている人も同じことです。
詳細な付与条件は、上記を参照にして実際の日数等を当てはめて計算してみましょう。
有給日数は? いつから使用可能?
週5日勤務の場合の、有給の付与日数と、有給が発生する時期(タイミング)の一覧表はこちらになります。
勤続年数 | 6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
また、 週4日勤務以下の場合の、有給の付与日数と、有給が発生する時期(タイミング)の一覧表はこちらになります。
勤続年数 | 6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年 6か月以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
週4勤務の有給日数 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
週3勤務の有給日数 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
週2勤務の有給日数 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
週1勤務の有給日数 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
週5日勤務の場合ですと、最初の有給が発生するのが半年後、まずは「10日」です。
その有給が残っていようと、使い切っていようとも、1年半後にはさらに「11日」が付与されます。
■ 有給休暇が取れない? 取らせてもらえない時は
では、有給休暇を取得したい場合はどのような手続きを踏めばよいでしょうか。
順を追って解説していきます。
1.有休を希望する日が有休を「とって大丈夫な日」か確認する
例えば、あなたが月初1日の月曜日に用事があって有給休暇を取りたいと考えているとします。
その場合、まずは派遣就業先にとって「その日、自分が休んで大丈夫な日か」の確認をしましょう。
具体的なこととしては、
- その日のうちに仕上げなければならない仕事の有無
- 指揮命令者の社員の都合
- 職場の繁忙期に当たらないか
といったことです。
例えば、毎月ルーティンで月初1営業日に行うべき仕事がある場合、その日にお休みを取ろうとすれば、その業務を誰かにお願いすることになります。
一緒に仕事をしている社員の方々とお休みが重なると、業務がうまく回らなかったり、期日に間に合わない可能性があります。
派遣先から有給の使用を拒否された場合はどうする?
どうしても仕事の状況的にマズイという場合、派遣先の上司から「有給の使用は別の日にしてもらえないか」と変更を打診される場合もあるかもしれません。 時期の変更自体は、会社側の正当な行為でもありますので、条件があうかどうか交渉してみましょう。
一方で「有給など絶対取らせない」といった、ブラックな派遣先に当たってしまった場合は、早い段階で、派遣会社の担当営業に相談しましょう。担当営業が、就業先との間に入って有給休暇取得の交渉をしてもらえるケースがあります。
そうしたことを考えたうえで、「その日が、自分が休みを取って大丈夫か」どうかを確認し、一緒にお仕事をしている社員や指揮命令者から「その日にお休みしてもらってもOK」との確認が取れたら、合わせて部署の責任者の方にもお声がけしておきましょう。
2.派遣会社にもお休みを取りたいことを伝える
就業先でお休みを取って大丈夫なことが確認できたら、次は派遣会社に有休取得の相談です。
ここで忘れてはならないのは「自分が何日有休を付与されているかを確認すること」です。
会社によっては、給与明細書に有給休暇の残日数がかかれていたり、自分で日数を確認する方法がある場合もありますが、そうでない場合は、派遣会社側にまずは自分に有休が付与されているかを確認します。
有休の残日数が確認できれば、あとは電話やメールで派遣元の担当者に「○月○日に、有休をとります。就業先の方にもすでにご報告済みです」と伝えましょう。
派遣会社によっては、有給休暇専用の連絡窓口を設けていたり、WEBページからの申請ができるケースもあります。
3.有給休暇を取得する準備をする
派遣会社にも連絡をして、有給休暇を無事に取れる許可が出ましたら、お休みを頂くための準備をしましょう。あなたがいなくても仕事が回るよう、さらに言えば「休みの最中に会社からの電話連絡が来ないように」準備をしておきましょう。
■派遣の有給取得前にチェックしておきたいポイント
- 業務メールを、同じお仕事をしている社員や派遣社員にも共有する
- 資料やマニュアル、物品の場所を共有する
- お休み中の引継ぎのために、メモ作成やミーティングの実施を依頼する
- 社外や、社内の関係者にもスケジュールの共有
- 不在の間の対応(例:休み明けに連絡します/○○さんに連絡してください)といったことを連絡する
このような準備をしておけば、もしあなたが不在の際になにか問い合わせなどが入ったとしても、周りの方の仕事を止めずに、スムーズに対応をしていただくことが出来ます。
■病欠などで有給休暇をとる場合の手順は?
急な体調不良でお休みするときは、事前の申請が出来ないケースがほとんどですが、多くの派遣会社ではそのまま有給としてお休みする事が可能です。
手順としては、
- まずは就業先にお休みの連絡を入れる(対応が必要な事柄があれば引継ぐ)
- 派遣先のOKが出れば、派遣会社へ連絡
- 派遣先の有給申請(WEBなど)
有給の申請については、派遣会社への電話だけでOKという会社もあれば、WEBシステムから申請できるところもあります。
いずれにせよ、「派遣会社への連絡を忘れる」というのが、派遣の有給あるあるですので、この点だけは注意しておきましょう。
■お休み明けの出勤をよりスムーズにするためのマナー
ここからは「絶対に抗しなければいけない」というものではないですが、派遣先の仕事や人間関係をスムーズに続けるためのポイントをいくつかお話します。
1.有給休暇明けの日は、少し早めに出勤する
お休みを取った翌日は、体が仕事についていくのに少し時間がかかるケースがあります。特に、たまったメールやチャットを既読にするだけでも、結構な時間がかかる場合も。
そんな職場でしたら、余裕をもって少しだけ早く出勤すると、リズムを取り戻しやすくなります。
2.周りの社員や派遣社員に感謝の気持ちを伝える
自分がいない間、周りの方々は自分の業務時間を割いて対応してくれていますので、それに対しての「ありがとう」の気持ちをきちんと伝えましょう。
もし、少し仕事の話が聞けそうであれば「今日、急ぎで対応しなければならないことはありましたか?」と休みの間のことを聞いてみてもよいでしょう。
急な体調不良でお休みした場合は、体調が回復した事や、周りの方への感謝の言葉を忘れないようにしましょう。
まとめ
派遣社員も、一定の条件を満たしていれば有給休暇を使う権利があります。
周りへの気遣いも忘れずに、お仕事やプライベートを充実させられるような、素敵な有休を取りましょう!